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コンパートメント症候群
こんにちは。
はる整骨院 院長 相馬です。
今日は、コンパートメント症候群といって骨折、脱臼、打撲などの外傷後の合併症についてお話ししようと思います。
コンパートメント症候群は、なんらかの外傷の後の前腕や下腿に多く発生し、神経や血管を圧迫してしまい回復不可能な後遺症を残してしまう恐い症状です。
前腕や下腿の筋肉は、似たような動きをする筋肉を筋膜という膜で、いくつかに分けて包んでいます。このいくつかに分けられているものを「区画(コンパートメント)」と呼びます。
筋肉の中には、神経や血管が通っているのですが、骨折などの外傷に伴って骨折した骨や周辺の血管損傷により流れ出た血液が区画内に溜まり、神経や他の血管を圧迫して、回復不可能なダメージを与えてしまうことを、コンパートメント症候群と言います。
コンパートメント症候群を、合併症しやすいところは、前腕では屈筋群(手首を手のひら側に曲げたり、指を曲げたりする筋肉の集まり)、下腿では第1区画(足首を足の甲側に曲げたり筋肉の集まり)の区画に起こります。
骨折や打撲により、これらの区画(コンパートメント)の中で血管が損傷してしまうと、筋膜で包まれたところに血液が溜まりだします。まずは外側に向かって区画内の圧力が高まります。筋膜は伸び縮みするような膜ではないので、区画内の圧力ある程度まで上がると、今度は内側に向かって圧力がかかり始めます。その圧力により神経や血管が潰され、神経に重大なダメージを与えたり、血管を潰してしまい血液が供給出来ず周辺組織に壊死を起こしてしまいます。
神経は一度ダメになってしまうと修復されません。壊死組織が広範囲であれば、最悪…切断になってしまいます。
コンパートメント症候群は、皆さんの予後を悪くしてしまうものなので、治療する側はかなり注意を払います。前腕や下腿の骨折後、特に授傷後24時間は注意が必要です。前腕や下腿に耐え難いような痛みを感じたら、すぐに固定を外し、治療を受けた医療機関に行きましょう。
固定を外して軽快すればいいですが、区画内圧が下がらない場合は緊急手術で患部を大きく切り開き、溜まってしまった血液を抜くことで区画内圧を下げます。すぐに閉じてしまうと、また区画内圧が上がってしまうので、しばらくそのままか、患部に管を入れておき血液が抜けるようにします。
前腕周辺、下腿の周辺の骨折や打撲、脱臼の授傷後は、コンパートメント症候群の恐れがあるので、ちゃんとした説明を受けましょう。痛みは体の異変を伝える信号なので、授傷後1日2日は 鎮痛剤を出さないのが普通ですが、もし処方されても飲まないで様子を見た方が良いと思います。
コンパートメント症候群は、外傷後に体の中で起こることなので、注意のしようもないのですが、しっかり説明をしてくれる医師や柔整師の所で治療を受けてもらいたいです。日頃から信頼出来る整形外科や整骨院を見つけておくのも大事なことだと思います。